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第2部 「ミッドナイトブルー」 第1話 「night-1」 ミッドナイトブルー (Midnight Blue) は色のひとつ。直訳すると「真夜中の青」となる。 西暦2041年 5月20日 23:55 花博記念公園鶴見緑地(はなはくきねんこうえんつるみりょくち)は大阪府大阪市鶴見区と大阪府守口市の市境にある。そこには公園施設の一部を利用した武装神姫センターがあった。 真夜中ということもあり、利用している神姫やオーナーの数もまばらだ。 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 真っ暗な闇の中を、数隻の巨大な灰色の塊が轟音を奏でながら進む。 ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン・・・ チーム名 「灰色艦隊」 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ノザッパ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 □重巡洋戦艦型MMS 「ヴィクトリア」 SSランク「砲女神」 オーナー名「野木 恵」♀ 24歳 職業 ネオニート マキシマ「嫌な夜だ・・・新月で真っ暗闇だ・・・星明りさえない・・・」 ヴィクトリア「こんな夜には、化け物が出るらしいな・・・マキシマ」 マキシマ「化け物か」 野木「化け物ですって?残念ながら私はそういうものは信じない主義でね。信じるのは金と力さ」 『灰色艦隊』 快速を誇る巡洋戦艦型神姫、10隻で構成された野木の誇るMMS艦隊である。ただでさえ高価な戦艦型神姫を10隻も所有している野木は変わったオーナーだ。 野木は親の遺産を元手に株のトレードで生計を立てている引きこもりのニートであり、神姫関連の企業について野木は詳しく、そういった点で投機をして荒稼ぎをしている。 そしてその儲かったお金で同型の戦艦型神姫を大量に保有して、自分の用心棒としているのだ。ただ、用心棒に艦隊を保有しているのは少々やりすぎな点もしないが・・・ ヴィクトリア「・・・マスター、こんな話を知っていますか?こんな真夜中の深い青の夜には、化け物が出て一瞬にして命を奪い取るという話を・・・」 野木「くどい!ヴィクトリア!!そんな非常識なものがいてたまるか!それにそんな化け物が出たら、お前たちの出番だろ!」 オーレリア「はっははは!たしかにその通りです。マイマスター・・・我々、灰色艦隊はそのようなよく正体も分からないような化け物にやられたりしませぬ」 ジェシカ「そうですね」 キャリスタ「んだんだ」 ノザッパ「ヴィクトリアさんの話は有名な都市伝説のアレですね」 野木「都市伝説?なんだノザッパ」 ノザッパは得意げなドヤ顔で話す。 ノザッパ「真夜中の日付の変わる午前0時ぴったりにいきなり現れるんだ真っ黒な神姫のことさマスター」 クローディ「その都市伝説は有名だよー」 ノザッパは続ける。 ノザッパ「夜のステージにしか現れない真っ黒な武装神姫で、その姿を見た神姫は一瞬にして命を奪いとられるんだってさー」 オーレリア「・・・・・」 ジェシカ「おい」 ノザッパ「な、なんだよ」 マキシマ「今、23:59だぞ」 ノザッパ「・・・・・」 野木が腕時計を見る。カチ・・・カチ・・・と時を刻む音が静かに聞こえる。 野木「5・4・3・2・1・・・」 カチリ 午前0時を指す時計。 野木「午前0時だ」 ヴィクトリア「・・・周囲に敵影なし」 ジェシカ「おいおい、わざわざ警戒する必要もないでしょ」 野木「異常無しか・・・」 ノザッパ「だから都市伝説ですってー」 そのとき、チカチカと上空から何かが光った。 マキシマ「・・・?なんだ今の光は・・・」 ガンッバキン!! アリスンの艦橋ブロックが青白い光に貫かれると同時に機関部分が真っ赤な炎を上げて吹き飛んだ。 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク 撃破 ズズウズウウウウウンン・・・・ 野木「な・・・」 そして次の瞬間、大型の対艦ミサイルが先方を進んでいた4隻の巡洋戦艦型神姫に命中し次々と火達磨になって爆発した。 マキシマ「!?け、警報!!ミサイル多数接近っ!!!」 野木「な・・・なんだと!!」 キュン!! ドガン!!バギャン!!ズズズウン!!バゴオオオムウ!! □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク 撃破 ノザッパ「う、うわああああ!!!ナヴァリンが・・・」 一瞬にして艦隊の半数が轟沈され、真っ暗な闇の中で花が咲いたように紅蓮の火球が燃え上がる。 クローディ「キャリスタ!轟沈!!くそオーレリアもエルヴィラもやられた!!」 ジェシカ「せ、先方のアリスン轟沈!!うわあああ!!」 野木「落ち着けェ!!状況を確認しろ!!マキシマ!!」 マキシマ「レーダー、センサー共には、反応なし・・・ど、どうなってるんだ!!」 ノザッパ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫が一瞬にして撃沈されるなんて」 クローディ「敵は、ど、どこだ!!見えないぞ!」 ヴィクトリア「・・・・・右舷に反応有り、チラッとだが、レーダーに小さい影が映った」 野木「照明弾っ!!撃てェ!!」 ヴィクトリアは照明弾を打ち上げる。 キューーーーーーーーーン・・・・パアァーーーン!! 真っ暗な闇の中にギラリと光る赤い眼のようなモノが光った。 マキシマ「敵機捕捉!!こいつはステルスMMSだ!!レーダーに映りにくい!!」 ジェシカ「畜生ォーーーブチ落としてやる」 野木はマイクを掴んで叫ぶ。 野木「全艦、対空防御!!全砲門開け!!撃てェ!!」 ウーーーーウウーーーーーウーーーーウーーー 生き残った戦艦型神姫たちは、砲塔をゴリゴリと動かして正体不明の黒い神姫に狙いを定める。 正体不明の黒い神姫はぐんと速度を上げて雲海の中に隠れる。 マキシマ「雲の中に隠れたようです」 野木「ええい!!かまわん!!撃て撃てェ!!」 クローディ「主砲正射!!」 巡洋戦艦型神姫の艦隊が一斉に3連ヘヴィ・ターボレーザー砲を正射する。 ズンズズズン!!ビシューーン!!ビシュエエーーン!! 真っ暗な夜を青白い光の線が何百本と貫く。 ヴィクトリア「レーダーロスト、敵機を見失いました」 ジェシカ「どこに嫌がる!?」 ジェシカがサーチライトを使って雲の海を照らす。 野木「サーチライトなんか出すな!やられたいのか!」 ビシュエエーーーン!! 雲の海の中から強力なレーザービームがまっすぐ伸び、ジェシカに命中する。 ジェシカ「うわあああっああああああああ!!」 ズズウズウウウウウ・・・・・ンン ジェシカの巨大な船体が真っ赤な炎に包まれ高度を落とす。 ヴィクトリア「ジェシカ被弾!!ジェシカ被弾!!高度を上げろ!!墜落するぞ!!」 ジェシカ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫を一撃で落とすなんてェ・・・あ、」 ジェシカの船内の弾薬庫に引火し、大爆発が起きる。 ズンズンズンズンンンン!! □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク ヴィクトリア「ジェシカ轟沈しました」 マキシマ「敵は我々と同じ威力の以上の大口径砲を搭載した重神姫のようです」 ノザッパ「うわあああ!!ジェシカ!!!」 野木「ぐっ・・・なんてことだ・・・あ、あっという間に艦隊の3分の1が轟沈とは・・・」 クローディ「レーダーに捕捉!!またちらりと影が映ったぞ!!」 野木「・・・・マキシマ!!艦首収束素粒子砲、砲撃用意!!」 マキシマ「は・・・目標は!?」 野木「下の雲海を主砲で吹き飛ばせ!!炙り出してやる」 マキシマ「了解!」 キュウウイイイイイイイイイン・・・・ マキシマの主砲が光りだす。 ノザッパ「マスター!?なにを考えているんです!!そんなことをすればマキシマが狙われ・・・」 野木「構わん!!」 ノザッパ「まさか、マキシマを囮に・・・」 野木「・・・・言うな!!」 マキシマはこくりとうなずく。 マキシマ「囮とは上等じゃんばいですか!来るならくればいい!!返り討ちにしてくれましょうぞ!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!正面距離1000!!」 ドフッ!!! 前方の雲海がばっと割れて真っ黒な正体不明の神姫が飛び出す。 野木「マキシマ!!撃て!!」 マキシマ「充填率、30パーセント」 野木「十分だ!艦首収束素粒子砲!!撃て!!」 マキシマ「艦首収束素粒子砲っ!!テっ!!」 バゴオオオオオーーーーウウウンン・・・ マキシマの前方の雲海がばっと吹き飛び、まっすぐ真っ黒な正体不明の神姫に届く。 真っ黒な神姫はくんと体を大きくひねり、加速しながら攻撃を回避すると同時に、青白い強力なレーザーを放った。 ビッシュウーーーーーエンン!!! クローディ「う、うわああああああああああ!!」 ゴバアアンン!!クローディの艦橋部分を抉るように吹き飛ばし黒い神姫は一瞬にして通り過ぎた。 □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク 撃破 マキシマ「な・・・なんてヤロウだ!!すれ違いざまに一隻落としやがった!!」 ノザッパ「ひえええ!!!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!主砲斉射!!」 ズンズンズズズッン!! 黒い神姫は再び雲海の中にもぐり姿を消した。 ヴィクトリア「・・・・敵機、急速離脱・・・離れていきます」 野木「・・・・・そうか」 ノザッパ「はあはあはあ・・・な、なんだったんだ!?今のは・・・」 マキシマ「現在、時刻00:05・・・正体不明機に襲撃を受けてわずか5分で艦隊の3分の1を失いました」 野木「これは夢なのか・・・ノザッパの言っていた都市伝説はこれなのか!?」 ノザッパ「あ・・・ああああ・・・化け物だ!!化け物神姫だァ!!!」 ヴィクトリア「マスター・・・この画像を見てください」 ヴィクトリアはさきほど偶然、カメラで撮影した画像を野木に転送する。 野木「こ、こいつは!?」 ヴィクトリア「さきほどのアンノウンの画像です。こいつは夜間戦闘に特化した重夜戦・・・重夜間戦闘機型神姫です」 野木は画像を凝視する。 野木「重夜間戦闘機型神姫・・・」 画像には真っ黒な重武装の凶暴なフォルムの神姫の写真がぼんやりと写っていた。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>・第2話 「night-2」 トップページに戻る
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ウサギのナミダ ACT 1-34 ■ 「……不器用な人、かな」 わたしの答えに、三人とも、「え~?」と不満の声を上げた。 「不器用なマスターじゃ、メンテナンスも満足にしてもらえないんじゃない?」 「あ、そうじゃなくて……手先は器用なの」 一四番さんの言葉に、わたしは説明する。 「手先じゃなくて……こう、気持ちとか、感情を外に出すのが苦手な人なの。 でも、本当は、とても優しくて……」 わたしは内心驚いている。 自分の説明がなぜかやたらと具体的だったから。 「いつも仏頂面だったり、怖い顔だったりするけど、笑顔が素敵で。 好きな女の子の前では、照れ屋さんで。 口に出しては言わないけど、わたしのことを一番に考えてくれていて。 わたしをいつもまっすぐに見てくれる……」 三人とも、わたしの言葉を真剣に聞いてくれてる。 わたしの頭の中で、一人の男性の姿が浮かび上がろうとしている。 「その、人の、名前、は……」 とおの たかき。 どうして。 どうしてこんな大切なことを忘れていたの。 世界で一番大切なマスターのことを……! わたしはすべて、はっきりと思い出していた。まるで、メモリにちゃんとアクセスできるようになったかのようにクリアに。 そう、マスターの元でわたしは、わたしは……。 「ね、ねぇ、どうしたの? どこか痛いの? 気分悪い?」 三六番ちゃんが、わたしに近寄ってきて、背中をさすってくれる。 わたしはうつむいて泣き出していた。 それは贖罪の涙だった。 本当は、この三人の前に現れる資格なんてなかった。 それに気がついてしまった。 「ご、ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさ……」 謝っても、わたしは許されないと思う。 それでも謝る以外にできることなんてなかった。 「どうしたの? どうしてあやまってるの?」 三六番ちゃんの心配そうな声。 ごめんなさい。わたし、あなたにそんな風に優しい言葉をかけてもらう資格なんてないの。 七番姉さんも、一四番さんも側に来てくれた。 二人も心配そうな顔をして。 「どうしたの? 二三番」 七番姉さんの優しい声に、わたしは告白する。 「わたしっ……お店の外に連れ出されて……そのあと、幸せだったのっ……。 ……マスターに、出会ったの……。 マスターは……わたしを、風俗の神姫と知っても……受け入れてくれた……」 涙が止まらない。 胸が痛い。 こんなに耐えられない痛みは何度目だろう。 でも、それを堪えて、言わなくてはならない。 きっとそのために、ここにいると思うから。 「……幸せだったの……みんなが、みんなが辛い思いしているときにっ! わたし、ひとりで幸せだったのっ…… みんなを助けようなんて、考えることもなく……ひとりだけ…… 裏切り者なの……あたしは…… みんなに、合わせる顔なんて……あるはずない……!」 ずっと、こんなに幸せでいいのかと思っていた。 本当は、わたしだけじゃなくて、お店の神姫がみんな幸せにならなくちゃいけないと、ずっと思っていた。 わたしだけ幸せでいていいなんて、虫のいい話。 そんなこと、あっていいはずがなかった。 だって、お店の神姫は、わたしと同じくらい、あるいはそれ以上に、ひどいことされて、辛い思いをしてきたのだから。 だったら、みんなが幸せにならなくちゃ……。 「裏切り者なんて、思ってないよ?」 三六番ちゃんの声に、わたしは顔を上げる。 涙にかすむ彼女は、小首を傾げて、いっそ不思議そうな表情。 「それどころか、感謝してるのに」 「な……なんで……?」 「だって……そのマスターなんでしょう? お店をなくしてしまったのは」 「え……!」 なんで、そんなことを知っているの。 驚いているわたしに、七番姉さんが言った。 「わたしたちは、わかっていたわ。 あなたがいなくなって……お客さんに連れ去られて、しばらくして、お店が警察の取り締まりを受けた。 だったら、きっとあなたが、外で誰かと出会い、お店がなくなるように頑張ってくれたんだって、そう思ってた」 七番姉さんは、髪を掻き揚げた。 「……まさか、全国の神姫風俗が取り締まられるとは、思わなかったけれど」 それは、マスターがしたこと。 マスターがわたしのために、戦ってくれたから。 刑事さんが、お店の神姫は、別のマスターに引き取られると聞いて、わたしは安心してしまっていた。 自分の罪から目を逸らすように。 「わ、わたしは……ゆるして、もらえるの……?」 「許すなんて……最初から恨んじゃいないよ」 一四番さんの微笑みは、とても優しかった。 「それどころか……あんたはわたしたちの希望さ」 「きぼ……う……?」 「そうさ。 あんたは、風俗の神姫のままでも受け入れてくれる、素敵なマスターに出会えたんだろ? だったら、あたしたちだって、きっと素敵なマスターに出会える。そう信じられる。 きっと、ここから出ていった連中だって、幸せになってるって、信じられるんだ」 一四番さんは、わたしをまっすぐに見て、言う。 真剣な表情。 「それだけじゃない。 今も、神姫風俗にいて、苦しんでいる神姫はたくさんいる。 その神姫たちが、あんたのことを知ったら? 希望が持てる。 風俗の神姫でも優しく迎えてくれる人が、現れるかも知れない、って。 限りなくゼロに近い可能性かも知れない。 でも、ゼロじゃない。ゼロじゃないんだよ。 ……あんたがいるから! あんたが、すばらしいマスターと出会えたことが、その証拠なんだよ!」 そんなこと。 でも、マスターと共にいることを、みんなが許してくれるのなら。 こんなに嬉しいことはない……けれど……。 「わたし……マスターと一緒にいてもいいの……? ……幸せでいいの……?」 わたしの両の瞳からは、いまだに大きなしずくがこぼれていく。 そんなわたしに、三六番ちゃんは、にっこりと笑いかけてくれた。 「もちろんだよ。あなたが幸せでいてくれなくちゃダメだよ」 彼女は少し寂しさに笑顔を少し曇らせる。 「わたしたちは……これから、記憶を消されるから……次に会ったとき、あなたのこと、覚えてないかも知れない。 でも、きっとわかるよ。 あなたがわたしたちにとって、特別な神姫だってこと。 きっとあなたのこと、応援するから……だから……」 三六番ちゃんは、まっすぐにわたしを見て、花開くような笑顔で言った。 「幸せになって」 わたしは。 涙を止めることができなかった。 嬉しくて、嬉しくて。 かつての仲間たちは、わたしのことを認めてくれないと思っていた。 恨まれていると思っていた。 でも、みんな、わたしのこと……わたしのマスターのことを認めてくれている。 この気持ちを、はっきりと伝えなくてはいけなかった。 声を出すのが難しかったけれど。 絞り出すように、言った。 「あり……が……とう……」 そのとき。 聞こえた。 今度こそ、はっきりと。 マスターが、わたしを呼んでいる! 「ごめんね、みんな……わたし……帰らなくちゃ……マスターのところに……」 マスターだけじゃない。 仲間たちの呼び声も、わたしの耳に届いてきた。 帰ってこい、と。 「帰って……戦わなくちゃ……マスターと一緒に……」 それが、今のわたし、だから。 涙を拭う。 もう泣きたい気持ちは、どこかへ飛んでいた。 決然とした気持ちだけが、胸にある。 戦う。マスターと共にあるために。 身につけていたワンピースが弾け飛ぶ。 いつものバニーガールの姿に戻っていた。 すると。 わたしの背後に、光の穴が出現した。 「ゲートよ。ここを通って、あなたの、元の場所に戻れるわ」 七番姉さんが教えてくれる。 わたしは頷いて、三人を見た。 未練は、ある。立ち去りがたく思う。 だけど、三人ともみんな微笑んでくれている。 不意に、三六番ちゃんが尋ねてきた。 「ねえ……名前を教えて?」 「え?」 「マスターがくれた、あなたの、本当の名前」 本当の名前。 そう、この名こそが。 わたしが今、マスターの神姫であることの証……。 「わたしの名前は……ティア」 いま、わかった。 この名こそ神姫の誇り。 武装神姫は皆、その誇りを守るために、戦っている……! 「ティア……」 三人の仲間は、わたしをまっすぐに見て、その名を呼んだ。 そして、ガッツポーズを取ると、声を合わせた。 「がんばって!!」 明るい笑顔で激励をくれた。 わたしも微笑んで、頷いた。 わたしの身体が輝き出す。 光の粒子になって、ゲートに吸い込まれていく。 三人の姿が白い光でかすんでいく。 「みんなも……みんなも、必ず……!」 必ず会えるから。 素敵なマスターに、必ず出会えるから、だから。 みんなも、幸せになって。 すべて言う前に、視界は光に包まれて真っ白に染まった。 伝わったと思う。 そう信じて。 わたしの意識は超高速で電脳空間を駆け抜ける。 帰る。 マスターの元へ。 わたしを『ティア』と呼んでくれる仲間たちの元へ。 そこがわたしの居場所だから。 □ 「ティアアアアアアアアァァァァーーッ!!」 瞬間、時が凍った。 ■ 感覚が戻ってきた刹那。 わたしの耳に届いたのは、一番大切な人の絶叫だった。 目の前にいるのはクロコダイル。 ハンマーを構えている。 現状を認識するよりも早く、身体が勝手に動き始める。 ……これが、雪華さんの言っていた、無意識の機動だろうか。 膝を曲げ、身体を前屈みに折り、右脚を後ろにスライドさせる。 クロコダイルの一撃が、わたしの頭上をすり抜ける。 右のうさ耳がちぎれ飛んだ。 わたしはホイールを急速回転させる。 その場で高速ターン。 身を屈めたままの体勢から、回転しながら身体を上げる。 クロコダイルは、ハンマーを振り抜いたところ。 わたしは、勢いのついた右脚で、クロコダイルの背中を蹴り飛ばした。 重いハンマーを振り、勢いのついていたクロコダイルの身体は、わたしの蹴りで加速され、ものすごい勢いで吹き飛んだ。 塔の中を、大きな激突音が響きわたる。 □ その瞬間、ゲーセンのバトルロンドコーナーは、確かに時間が止まっていた。 筐体の向こうの井山は、目を輝かせた笑い顔のまま静止していた。 ギャラリーは大型ディスプレイを見上げ、目を見開いたまま、あるいは顔を両手で隠したりして、止まっている。 隣にいる久住さんも大城も、俺の背後の少女四人組も動く気配はない。 何より俺が、身動きできずにいた。 その場を一瞬の沈黙が支配している。 時間の動きを示すのは。 ティアの頬を伝う、ひとしずくの涙。 ティアの頭は無事だ。 静寂の中、立ち尽くしている。 いつのまにか、右のうさ耳がちぎれている。 沈黙を破ったのは、クロコダイルだった。 『がああああぁぁっ!!』 土煙の中から、這いつくばっていた上半身を持ち上げている。 口から吐瀉物をまき散らしながら、叫んだ。 『なぜだっ! なぜ戻ってきた!?』 ティアは静かに答えた。 『……声が、聞こえたから』 ■ 「声が聞こえたから。 マスターが、わたしを呼んでくれる声が。 仲間が、わたしを呼んでくれる声が。 だから、わたしは戻ってこられたんです」 心は穏やかだった。 クロコダイルの声を聞いても。 視線の先にいるその姿を見ても。 今は怖いと思わない。 「ありえない! そんなもの、聞こえるものか!!」 「……あなたには分からない」 「なに……!?」 「お互いを大切に思う気持ち……絆があるから……聞こえたんです」 クロコダイルは、これ以上ない憤怒の形相でわたしを見た。 「絆だと……!? えらそうに、汚れた風俗の神姫風情が……!!」 「っ……!!」 瞬間、わたしは睨み返していた。 許さない。 風俗の神姫だからって、貶められる理由は何もない。 だって、わたしたちだって、幸せを求める気持ちは同じだから。 かつての仲間を、今も苦しんでいる仲間たちを、侮辱するのは許さない。 「そんな言葉……わたしは、もう、恐れません!!」 そう。 もうわたしは、自分の過去を恐れない。 いいえ、本当は、はじめから恐れることなんてなかった。 いま、確かなものが、わたしの中にあるから。 わたしは、小さいけれど、ただ一つの確かなものを、胸の前で握りしめる。 「だって、誇りがあるから……」 それは名前。 誰よりも大切な人がくれた、その名前こそ、わたしがわたしである証。 「わたしの名前は、ティア」 そして誇る。 「遠野貴樹の、武装神姫だから!!」 ◆ 歓声が爆発した。 ギャラリーしている人間も神姫も。 誰もが声を上げずにはいられなかった。 「届いた、届いたよ!」 美緒は、三人の仲間たちに抱きしめられる。 みんな喜びに声を上げている。 怖かった。届かないかも知れない、と思った。 でも届いた。 ティアが聞こえたと言ってくれたのだ。 仲間たちと抱き合いながら、美緒は安心と喜びで泣きじゃくる。 □ 「やったぜ……奇跡が起きたぜ、おい!!」 大城が俺の頭を掴んで揺さぶっている。 「帰ってきた……あなたの声、届いたわ、遠野くん!」 久住さんは俺の右腕を掴んできた。 二人の感触が、呆けていた俺を、現実に立ち返らせる。 周囲は歓声が響き、うるさいほどだ。 俺はまだ、ショックの抜けていない気持ちのまま、ヘッドセットをつまんだ。 「……ティア……?」 『はい、マスター』 いとも簡単に返ってくる返事。 その声が、俺の心に深く染み込んでくる。 言いたいことがたくさんあった。 聞きたいこともたくさんあった。 どこへ行っていたのか、誰かと会ったのか、どうしていたのか、俺の声は本当に届いていたのか、身体は大丈夫なのか、心は無事なのか…… だが、頭を一瞬で駆けめぐった言葉は、一言に集約された。 「……走れるか?」 『はい』 力強く。 ティアは何か吹っ切れたように、はっきりとした返事を返してくる。 「……俺なんかの……指示でも……走れるのか?」 『……俺なんか、っていうの、禁止です』 ティアに叱られた。 弱気になっているのは、俺の方か。 そして、続く言葉。 『マスターと一緒に戦えること、わたしの誇りです。 世界の誰よりも、マスターを信じています』 その言葉が俺の心を鷲掴みにした。 溢れ出したのは、闘志。 そう、今はまだ、バトルの真っ最中だ。 勝つ。 ティアのために、俺のために。 助けてくれた久住さんとミスティ、待っていてくれる大城と虎実。 手伝ってくれた四人の女の子たち、それから、海藤とアクア、高村と雪華、日暮店長と地走刑事……俺たちの仲間のために。 そして、井山との因縁を断ち切るために。 「ティア、お前がそう言ってくれるのなら……一緒に戦おう……勝ちに行くぞ!」 『はい、マスター!』 俺は立ち上がり、井山を睨む。 奴は顔を引きつらせていた。 いまや奴のアドバンテージなどないに等しい。 それどころか、ほぼ完全な勝利が手から滑り落ちていったのだ。 井山の顔からは、一切の余裕が消え失せていた 「行くぞ……井山……」 俺は、左手で、井山をまっすぐ指さした。 そこで初めて、手のひらに爪が食い込んで傷になっていることに気がついた。 俺は意に介さず、井山に言葉をぶつける。 「ここからが……本当の戦いだ!!」 次へ> トップページに戻る
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不良娘と放課後のディスカッション 世の中はオセロのような物だ。 片やが立てば片やは減り続ける、そうして四隅を取られて敗北を待つ。 コマを回収するときを静かに待ち続けるしかないんだ。 負けてたまるか、諦めてたまるか そう思い続けた日々は無意味と帰して… 「そうして哀れ私はこうして肉体労働に準じるしかないのね…よよよ」 「おい神奈、余計な口を動かしとランでこっちの資料もいらないから縛って置いてくれ あとそれからそこの教材と此処の参考書ももういらないから棄てるように。それから…」 「は~いはいはい、私の手は何本に見えます?二本ですよ!」 少女は無意味なモノローグを途中で切られた事にムッとして、半ば剥げた教員に文句を返す。 少女は特徴的なウェーブのかかった長髪をしており 流行りの小ぶりなバイオメタルフレームの眼鏡をかけていて それが逆にスタイリッシュなファッションとなっている…所謂美少女である。 しかしその手には軍手、そして首にはタオルをかけておりやや埃にまみれたその姿はアシンメトリーな違和感を感じさせた。 「今これゴミに出すんでもうちょっと待ってくださいよっと…急かす男性は幾つになってもモテませんよん♪」 余計な御世話だ!!という怒号を背に聞き終える前に扉を脚で閉める。 そして重い荷物を両手に木造の渡り廊下を歩く。 珍しい?確かにこんなご時世だ、そう感じるのも無理は無いだろう。 戸叶第三高校…通称戸叶三校。 都内におけるごく有り触れた3流高校であり、未だ木造の校舎が残っていると言う奇特な学校である。 なんでも21世紀初頭にごく一部で古き良き建築方式を残そうという運動があったらしく 当時の新技術であった圧縮技術によってできた強化木材によって最新のバイオセラミックに勝らずとも劣らない強度と頑丈さを兼ね備えているのだとか。 しかし所詮木材は木材、腐食菌達の30年間にわたる努力の甲斐あって、強固な木材もやがては腐食する運命を辿る事の証明に細菌どもは成功したのである。 それがどうしたと言われるだろうが此処からが問題で、雨が降ったりすると雨漏りが結構酷いのだ。 そして彼女、神奈 流の回収したテスト用紙に丁度狙い澄ましたかのように雨漏りが降り注いで来た事によって素敵なまでに答えが消えてしまったのだ。 通常は、ここで再試験の申し揉みを出せば先生はもれなくOKサインを出すだろう。 しかし彼女の場合は勝手が違った、授業の抜け出しに授業中の居眠りなど常習犯 果ては成績の良さとそれに寄り学校の平均偏差値をあげているのも彼女なのだからか堂々とそれらを行うのだから教員としては腹立たしい問題児の中の問題児 それが神奈 流の教員たちによる評価である。 つまり再試験していい代わりに、雑用だけでもやってもらうぞと言う事だ。 ちなみに再試験は既に終了しており教師も真っ青になる程の好成績を叩きだしている。 「しっかし何でまたゴミ捨てかしらねぇ~、こんなの男子にでもやらせりゃいいのに… まったく、私みたいにガッツのある野郎はいないのか嘆かわしい」 実際昨今のスポーツ事情から言っても、社会の中での男性の立場の崩落は未だ大きい物である。 何故ならば男子の運動離れと、筋肉や中身を磨くより外観を磨こうという努力にばかり目が行く者や 20世紀末から繁殖を始めたゲームやパソコンオタクと言った分化系の大量発生―といっても著者や神奈自身はそれを否定する事は無いが― パッと見ではそうそう問題ではないが、男子の体育離れ…即ちなよなよしい男子を大量生産するようなご時世と言う事だ。 しかし…そんなこのご時世でも奇特な人間と言うのは居るもので 「よう、手伝おうか?」 通りかかった部室の前に腰かけた男が神奈に話しかける。 ツンツン頭で如何にも前世紀では漫画の主人公のような頭をしている男はただ神奈を見かけただけなのだろう、それがどんな状態に有るかも知る由もない 彼がそんなお人よしである上に外見に見合わずそれなりに筋肉のついている男だと言う事も神奈は知っていた。 なぜなら彼は神奈が所属する部の部長だからである。 「頼むわ、ちょっと数学のあのハゲの準備室で教材とか色々あるからねん♡」 「え”…わ、わかった。男に二言はねぇ!!」 一瞬固まった、それ程に数学教師の階戸教員はなかなかに面倒くさい人間と言う事が知れ渡っているからだ。 しかし男はガッツポーズをとってその場から数学準備室へと足を運ぼうとする。 それこそがなんでも気合と根性とごり押しで物事を解決する男、元サッカー部主将にして武装神姫部部長の蘆田 阿頼耶である。 明らかに生まれる時代を間違えているこの男。 ふと神奈は蘆田を呼びとめた、もちろん頼んだ事を中止する気は無い。聴きたい事があったからだ。 「蘆田部長ー、部長の神姫はどったの~?」 「んん?今丁度部室内の掃除中だ、丁度部屋から追い出されちまった所だよ」 神姫…それは2041年現在、あまりにも当たり前に人々の日常に溶け込んだ汎用人型フィギュアサイズロボットである。 身長15センチ程度のボディにCSCシステムに寄る人工的な感情と魂をほぼ完全に再現した最新の人工知能を搭載 またボディに汎用的なパーツを搭載する事でほぼ無限とも言える多機能性を見せる―これを武装とも言い、後述の名の由来にもなっている― まさに、人類が生み出した理想的なパートナーと言えるだろう。 そして一部の人々はその神姫に思い思いの文字通り武装―武器や鎧、あるいは技術をありったけ積み込んだ超小型軽量化バトルモービルもしくは同左パワードスーツ等々前述の通り種類は無限である― を装備させ、あるものは自らが司令塔となって、或いは神姫と一つになって、小さなサイズの戦いを繰り広げる遊びが流行していた。 それを神姫バトル、そして主人と共にその戦いに身を投じる神姫達を人々は武装神姫と呼んだ。 「しかし…当たり前に浸透してるって言う割にはバカ高いのよねぇ」 「仕方ないさ、俺だってバイトの退職金と兄貴の残した神姫ポイントがなけりゃ二体も買えなかったしな」 流石元運動部員と言うか、もう神奈に追いついてきた蘆田と学校外の歩道を、荷物運びをしながら受け答えする。 ため息をついてゴミ捨て場へとたどり着く。古い学校だから景観を壊したくないという理由でゴミ回収場所も後者から結構遠い道の端なのだ。 「あぁもう、今日は私だってバイトの予定もキャンセルしたのよ!!なんだってこんな金にもならないボランティアをする為に…くっそう、21世紀初頭の活動団体を呪いたいいぃ!!」 「一体何を言ってんだお前は…」 ため息をつきながら蘆田は神奈に振り向く。 「そういえば、神奈はそろそろ神姫買う予定なのか?」 「いや全然?」 蘆田は意外な事にすっぱりと切り捨てられる問いに顔をしかめる。 それもその筈、神奈は神姫に対する知識が非常に深い。 本人は詳しい武装紳士・淑女で無くとも神姫ヲタならだれでも知っている事というが 実際戸叶三高神姫部の神姫達の武装は殆ど神奈がチューンナップしているのだ。 深いなんてものじゃない、明らかに何か経験を積んだのだろう。 しかし、その辺の事は蘆田は深く聞き出すつもりは無い、お互い過去は無意味なことと知っているからだ。 「まぁ部長だってサッカー部全員が女にうつつを抜かしててる中、極度の初心なもんだから凄く居づらくなったんで、せめて女性恐怖症を治すために神姫始めたんでしょ♪」 「ぐ!!それは今関係ないだろうが!!」 まぁ彼の過去の場合、もう殆ど払しょくできているから伏線にする必要もないのだが… やがてようやくゴミ捨て場へとたどり着いた二人はどさどさとゴミを置く。 「しかし何でだ、普段からお前うちの神姫達ともよく関わってるし神姫が嫌いな訳でもないんだろう?それこそうちの部費で買ったっていいんだ、金の事なんてそんなに気にする事でもないだろう?」 「…整理がつかないのよね、気持ちの問題と言うかね…なかなかどうして、私に共感できる子が欲しくてね」 そりゃ無理だ、と蘆田は正直にため息をついた。 神奈程の変人は中々居ない、神奈と関わった者ならだれでもそう思うし神奈本人もそう思うだろう。 しかし…ふと神奈は其処に捨ててあった赤い光を偶然視界に入れた。 「…………あぁ、前言撤回するわ」 「・・・は?」 神奈の突然の意趣返しに蘆田は戸惑いの声を上げる。 すると神奈は粗大ごみの中から伸びる『手』を握って、ずるりと引き上げた。 千切れたコードが絡まり、埃で汚れ、力無く手脚をぶら提げた身長15センチ程度の少女が神奈の掌に乗せられた。 「部長、ちょっと部室のクレイドルとパソコン借りるわよ」 「お、おい?」 「私はこの子の思い出を育ててみたいのよ♪」 トップ 続き
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【武装神姫】セッション2-1【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18416769
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【武装神姫】セッション2-2【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18583126
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【武装神姫 MMS,Type CANNON】 【FORT BRAGG -ADAMS-】 「対空レーダー連動・・・・・・発射準備OK、堕ちなさいっ!」 『対空型MMS フォートブラッグ-ADAMS-』 【基本能力】 フォートブラッグは支援攻撃のプロフェッショナルである。 そのため戦闘基本値に以下の修正を得る。 【射撃基本値】(+5) 【格闘基本値】(+1) 【回避基本値】(+1) 【特殊】『射程(6)』以上で攻撃する場合、射撃武器の【威力】(+1) 《間接砲撃》習得済 【技能】 フォートブラッグはキャラクター製作時に、以下のリストから技能を3つ習得できる。 また経験を積んでキャラクターレベルが上昇した場合、3で割り切れるレベル(3,6,9,12……)に到達する度、新しい特殊技能をひとつ、修得できる。 フォートブラッグ 技能リスト 《追加HP》 《一斉発射》 《ウェポン習熟》 《緊急回避》 《逃走》 《シールドブロック》 《追加SP》 《反射神経》 《連携攻撃》 《タフネス》 《突撃》 《不死身》 《SP回復》 《間接攻撃》 《狙撃》 《待機攻撃》 《複数目標攻撃》 《ステルス》 《掃射攻撃》 《回避フォーメーション》 《高速移動フォーメーション》 《速攻フォーメーション》 《集中砲火フォーメーション》 《防御フォーメーション》 《砲撃フォーメーション》 ○フォートブラッグ(ADAMS) 【基本性能】 【射撃修正】(±0) 【センサー性能】(+4) 【速度】(6) 【格闘修正】(±0) 【装甲値】 ( 6 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(±0) 【HP】 ( 24 ) 【パワー】 ( 6 ) 【格闘武器】 名称 /威力/格闘補正/使用回数 格闘 / 5 / ±0 / ∞ 【射撃武器】 名称 /威力/~5/~10/~15/~20/使用回数/間接/連射 FB0.9Vアルファ・ピストル / 7 /+4/ - / - / - / 7M / × / × M16A1アサルトライフル / 9 /-3/ -2/ -7/ - / 10M / × / ○ レーザー誘導ミサイル(*1)/ 10 /-10/ -2 / -5 /-10/ 8 / ○ / × (*1)『飛行』中の相手に対して【命中】(+3) 【カスタムデータ】 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ FB-CPA 複合機能ヘルメット /《装甲+1》 《センサー性能+4》 胸部 / (0)/ FB-CPC 胸部プロテクター /《装甲+1》 脚部 / (1)/ FB-RP3b ピボット /《HP+2》 《装甲+1》 《速度+1》 背部U / (2)/FB-RP4ファイアリング・バックパック/《HP+2》 《対空レーダー》 《追加ラック×2(レーザー誘導ミサイル搭載)》 武装 / (0)/ M16A1アサルトライフル 武装 / (2)/ レーザー誘導ミサイル(2ユニット分) 計 /( 5 )
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8th RONDO 『愛しています、私のバカマスター ~3/3』 「――やれ、エル」 「はい、マスター♪」 ガキインッ! 筐体に硬質の音が響き渡る。 食い入るように観戦するギャラリーも、冷静に見守る竹さんも、怯えるように見つめる姫乃も、当事者であるニーキでさえ――俺とエルを除く誰もが、目の前で起こったことを理解できなかったはずだ。 いや、ニーキに限っては、驚くことすら許されない。 エルが放った “銀色の一閃”。 それは、誰の目にも留まらず、ニーキを吹っ飛ばした。 エルの身長ほどの長さがある金属の棒。 それを背面から縦に円を描くように振り下ろしたまま、エルは遥か先のニーキを見据えている。 一定の長さごとに節があり、伸縮可能なそれは、俺があらかじめつまようじケースの中に紛れ込ませていた本命の武器。 「あれって、アンテナ?」 「そう、ラジオのアンテナだ。 俺の部屋の小物入れを漁ってたら古いラジオが出てきたんだけど、電池を入れてもワンともニャンとも言わないし、じゃあアンテナ取り外してもいいよなって」 「いや、武器にアンテナ選ぶのもどうかと思うけど……まぁ、つまようじよかマシやろうけど、最初っからちゃんとエルに渡しときゃ、こんなことにならんかったんやない?」 「そ、そこはホラ、エルを驚かせたかったし。 それに今のカウンターも上手く入っただろ」 「その一撃のためにエルはもう瀕死なんやけどね。 あんだけボコられてまだ立っとるのが奇跡やよ」 「……だってまさか、こんなシリアスなバトルになるなんて予想できたか? ああそうだ、姫乃!」 ビクッ! と姫乃の肩が跳ねた。 その顔は悪戯がバレた子供というか、重要書類をシュレッダーにかけてしまった新入社員というか、見ているこっちが心苦しくなるほど痛々しい。 「俺もエルも姫乃の考えはお見通しだからな。 “ニーキは姫乃の期待に寸分違わず動いている”」 「…………」 「だから、それを知った上で言っておくが――俺は姫乃が大好きだぜ」 「…………」 「ま、そう簡単に信じられたら苦労はしないんだけどな。 帰ったらそのへんのことをゆっくり語ってやろう」 姫乃は俺と目を合わせようともせず、俯いたままだ。 今日はエルもニーキもぐっすりと眠ることだろうし、夜這いでもかけてみるとしよう。 さっきから 「「「「ヒュー! ヒュー!」」」」 と五月蝿いギャラリーは無視して、今は目の前のバトルに集中だ。 「ぐっ……! やってくれたな」 ニーキは立ち上がり、恨みがましく言った。 「今までの君と弧域の漫才は全て演技だったというわけだ」 「漫才は演技で行うものですよ。 それと、ニーキ姉さんは大きな勘違いをしています。 私がこの剣(?)の存在を知ったのは、500本入ケースの蓋を開けた時ですよ。 だからケースを開けた後、つまようじを取り出さなかったんです」 「それこそ嘘だ! 君はそれを完璧なタイミングで振り下ろした! 500本の中に紛れ込んだそれを、どんな形状かも分からないものを私の接近に合わせて背後から引き抜いて、伸ばしながら振り下ろすまで、一瞬たりとも私から視線を外していない! 事前にその存在を知っていなければ不可能な芸当だ!」 「何度でも言います」 立っているのも辛いはずなのに、エルは堂々と胸を張った。 「私はマスターを信じています。 だからどんな形であれ、 “マスターは私のために、私が万全に戦える武器を用意してくれているんです”。 つまようじを渡された時から、ああ、マスターは本当はどんな武器を用意してくれているのかなって、ずっとずっと楽しみにしていたんですよ。 そういう意味では、私はニーキ姉さんをペテンにかけていたことになりますけどね」 つまようじ500本を渡された時は少~しだけマスターを疑っちゃいましたけどね、と、ジットリとした目をこちらに向けた。 ……こっちにだって色々と都合があったんだ。 予定では、 「うわああああ来ないでください!」 とか言いつつ、つまようじを投げまくって、ニーキが、 「こ、この、真面目に戦うわっ!?」 という具合につまようじを踏んで転んで、エルも、 「あ、チャンス! 今こそ決戦の時なのでひゃあ!?」 と自分も転ぶような、目を覆いたくなるほどのグダグダなバトルが繰り広げられるはずだった。 それなのにエルときたら俺の期待を(良い意味で?)裏切り、開幕からいきなり 「『デーモンロードクロウ!』」 とカッコイイ必殺技を放ってくれた。 シリアスなバトルもいいけどさ。 もうちょっとこう、肩の力を抜こうぜマイヴァルキリー。 「けど今回は特別に、特別にですよ? マスターを許しちゃいます。 こうして剣(?)も手に入ったわけですし」 そんなマスターの期待など露知らず、エルは得意気にそう言って、くるくるとアンテナを回して見せた。 そして右手にアンテナを持ち、左手には再びつまようじを四本構えた。 その動作には、今まで以上に迷いが無い。 「好き勝手やられたお陰様で、私はあと一撃で倒れてしまいます。 でもニーキ姉さんは今から、私の速度に一歩たりとも追いつけずに膝を折ることになります」 ボロボロであっても自分の勝利を疑わない。 疑う理由が無い。 ニーキの敗北を予言、いや宣言したエルは右手のアンテナを思いっきり、地に叩きつけた。 「はあっ!」 脚力に加えたその反動でエルは自分の身体をニーキへ “飛ばした”。 「なっ!?」 機動力を上昇させるレッグパーツもリアパーツも装備していないエルの、それらの武装をはるかに上回る速度に辛うじて反応したニーキは、咄嗟に剣を正面に出す。 だがそんな防御は、今のエルには何の意味も成さない! 「『デーモンロードクロウ!』」 防御を無視したエルの四本の爪がニーキに突き刺さり、そのままステージ端まで追い込んだ。 「ぐあっ!」 筐体が僅かに揺れる。 ガラスケースに背中を打ち付けたニーキから一旦離れ、再びアンテナを叩きつけてニーキに向かって加速したエルは折れた四本を捨て、その速度の中で槍投げのように構え、 「『神槍――――』」 「ニーキ逃げて!」 その技の威力を、その技を受けて動かなくなってしまった神姫を間近で見たことがある姫乃の叫びは、神の字を冠する悪魔の槍に対してあまりに遅すぎた。 「『 ス ピ ア ・ ザ ・ グ ン グ ニ ル 』」 銀色に煌めきながら放たれたそれは、立ち上がったニーキの胸に直撃し壁に一瞬その身体を縫いつけ、ニーキは崩れるように膝を折った。 投擲したエルは命中を見極める残心を取……ることもできず、勢いを殺せずに 「ひびゃん!」 と情けない声をあげて盛大にずっこけ、海老反りになったまま ズザザザーッ とニーキの足元まで滑っていった。 コートの裾がめくれ上がり、エルの白くペイントされた尻が顕になった。 姫乃ならともかく、神姫のパンチラ (パンモロとも言う) を見たって嬉しくねぇ……。 しかも今更、さらにこのタイミングで転ぶなよ……。 「ううう、ますたぁ~今のでライフポイントが残り 【1】 になっちゃいました……」 「少しでもエルがカッコ良く見えた俺の目が恥ずかしい……」 歓声を上げるギャラリーを尻目に、俺とエルはふたり仲良く居た堪れなさを味わった。 「なんだあのスピード有り得なくね!? 絶対コスプレ神姫の動きじゃねぇよ、改造してんじゃね? アーク並に速いんじゃね?」 「いや~それは言い過ぎっしょ。 イーダよりは確実に速かったけど。 でもなるほど、神姫だからこそできる移動法って感じかぁ~さすがドールマスターの友人だけあって勉強になるなぁ~ウチのシュメッたんにもやらせてみようかなぁ~」 「「「絶対無理」」」 「酷いねぇ~君たち」 「なによあのアルトレーネ、絶対許さないっ! 後でバトル申し込んで倒そうっ! 空気読めってのよねっ! ここは執事さんがマスターの狂気に駆られて圧勝するところでしょうがっ! ホント空気読めっ! ねぇっ!?」 「……うん、そうね。 あんたも少しくらい空気読もうね」 「パンモロギュウドン可愛すぎw ちょっとアルトレーネ買ってくるわw」 「おまっw 買ったら名前>>50」 「>>50 “たこ焼きのお供”」 「「そwれwだw」」 のそのそと立ち上がったエルは 「レミリア姉さんみたいにカッコ良く投げたつもりなんですけどね……あれ? でも武器投げって 『ゲイルスケイグル』 と同じ……さすがレミリア姉さん、技も私のものよりずっとすごかったんですね」 とブツブツ言いながらアンテナを拾った。 レミリアの前に落ちているアンテナを。 目前のレミリアを警戒することもなく! 「額防御!」 「っ!?」 間一髪。 俺の声に反応してニーキの 『血風懺悔』 ――いつの間にか腰のホルスターからハンドガンを抜き、その銃身で繰り出す突き――を弾いたエルはよろめき、蹈鞴を踏んだ。 銃身を突き出したままニーキは狙いも定めず数発射撃する。 「くっ!? はっ! やっ!」 弾丸を弾きながら、エルはニーキとの距離を取った。 「この距離で盾もなしに射撃を凌ぐか。 いや、それよりも私の技を弧域の声だけを頼りに防ぐとは巫山戯たことをしてくれる。 さっきの移動法も技もレミリアという姉から譲り受けたものだろう。 どんな神姫かは知らないが、おかげで私のライフポイントも残り 【1】 だ。 エル、君は誰からも――」 ――愛されているのだな。 そう言って片手に持っていた大剣を、ニーキはエルに無造作に投げてよこした。 攻撃か、それとも布石か、警戒したエルはしかし、その敵意の無さを感じ取ったのか、器用に片手で握りを取った。 「その剣を暫くの間、君に預かっていてほしい」 「預かるって、で、でもこの剣は――」 「先の非礼の詫び、とでも思ってくれればいい。 言っておくが、いつか返してもらうからな。 壊したり無くしたりすると私は本物の悪魔になるぞ」 それはニーキなりの冗談だったのか、口角を少しだけつり上げてみせた。 神姫同士、繋がるものがあったのか、エルは深く追求しようとはしなかった。 「――分かりました。 この剣をニーキ姉さんに返す日が来ることを心から願っています。 けど、いいんですか、今私に剣なんて渡しちゃったら、ニーキ姉さんのライフポイントは “爆風前の灯火” ですよ?」 といいますか、ライフポイント以前に爆風で粉々になりますよ、と面白くもないことを、ニーキの真似なのか口角をつり上げたエルが言った。 丸い瞳のアルトレーネにその顔はまったく似合っておらず、違った意味で不気味だった。 長いようで短かったバトルも、ついに大詰めを迎えた。 どちらかの攻撃が掠るだけで決着を迎えてしまう局面で、エルは得意な武器二振りを手に入れ、逆にニーキはハンドガン一丁のみ。 「君達の見当通り、私は遠距離攻撃が苦手だ。 だから正直に言って、このハンドガンもこの距離では何の役にも立たない。 だが近づこうにも君にはレミリア直伝のスピードがある。 だったら私は――」 ゆっくりと、エルの横に回り込むように歩くニーキは、ゆっくりと、ゆっくりと――その姿を消した!? 「え? うわっ!?」 「――君の認識の外から近づかせてもらうとしよう」 エルが “そのこと” に気づけたのは戦乙女型の直感の成せる奇跡だった。 いや、偶然と言い換えたほうがいい。 エルの正面にいたはずのニーキが “エルの背後から” ハンドガンを放ち、辛うじて反応したエルは手に入れたばかりの剣でそれを弾いて飛び退る。 だが “その先でエルが来るのを待ち構えている” ニーキが燕尾服の尾を靡かせてハンドガンを構えている!? 筐体の外から見守る俺ですらわけが分からない! 「なんで!? こ、このっ!」 混乱しつつも、剣を地に叩きつけた高速横っ跳びで弾丸を回避したエルはそのまま大きく距離を取った。 「マ、マスター! あ、ありのまま、今起こったことを話します!」 「い、いや、いい。 俺の頭もどうにかなりそうだ」 認識の外から近づく? 簡単に言ってくれるが、今のは催眠術だとか超スピードとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてなかった! 「どんなに相手を刮目していようと、その認識には必ず切れ目がある。 それは神姫も同じこと。 私はその切れ目に足を踏み入れるだけだ」 そう言いつつリロードを終えたニーキが再び、ゆっくりと、歩き出した。 「エル! これは本気で警戒しないと――」 「――あのハンドガンの装弾数は最低でも12発。 でもニーキ姉さんのことだから、今のリロードはフェイクと見て間違い無いでしょう」 「おう?」 エルは両手の二本を軽く広げて悠然と構えた。 ロングコートがマントのように靡く。 「正直ニーキ姉さんの動きはサッパリ理解できませんけど、大丈夫ですよマスター。 まさか私を疑ってなんていませんよね?」 その自信に満ちた姿が、見た目は全然違うのに、レミリアに重なったように見えた。 満身創痍のくせに俺を挑発するなんて。 本当に――俺は面白い神姫に出会ったと思う。 「は、はは、うはははははっ! そんなわけないだろう、 “信じてるぜ、エル!”」 「ふふっ♪ マスターに信じられちゃったなら、しょうがないですね。 ではでは――」 エルにとっての自己暗示なのだろう、両手の剣を頭上でクルリと風車のように回した。 「戦乙女型アルトレーネ、エル! 我がマスターとの勝利と絆をこの二本の剣に誓います!」 再びアンテナを叩きつけ、同時に脚に溜めた力を放ったエルは、 「「「「「飛んだぁ!」」」」」 いつの間にか接近し、ハンドガンの突きと同時に放った射撃を空振ったニーキの遥か頭上で、二本の剣を翼のように広げた。 「いい景色ですね。 ここからだとニーキ姉さんの動きもばっちり見えちゃいます」 「くっ! いいだろう、ならば――」 高所から見渡されては、さすがのニーキでもエルに気付かれず近づくことはできず、エルの高さまで飛ぶ機動力もない。 これでニーキの技は封じた――だが、この程度で屈服する悪魔ではない。 「悪魔型ストラーフ、ニーキ! 我がマスターの想いをこの銃で果たす!」 エルの遥か下、真っ向から打って出るニーキはハンドガンを背後に引き、その方向に限界まで身体を捻った。 落下を始めた、自分の挑戦を受けてくれるライバルに喜びを隠さないエル。 その先で待ち構える、ライバルの挑戦を打ち砕く喜びを隠そうともしないニーキ。 ギャラリーが固唾を呑んで見守る中、二人の緊張は限界に達する。 「『スカーレットデビル』 ――――勝利の栄誉の礎となれ!」 「『十三回旋黒猫輪舞曲』 ――――敗北と絶望に舞い狂え!」 最高速度で降下するエルと貯めた力を開放したニーキ。 「はああああああああああああ!!」 「うおおおおおおおおおおおお!!」 爆発のような激突の衝撃は筐体を揺るがし―――― 「――――あんな自滅覚悟の大技を、しかも瀕死の状態でぶつけ合ったらそりゃあ、どっちも立っていられるはずないよな。 エルとニーキがレミリア達みたく壊れやしないかって心配で卒倒しそうだったぜ。 あーくそっ、またあのマオチャオのこと思い出した」 とっぷりと日が暮れて、俺の部屋の中の空気は肌に刺さるように冷たい。 梅雨が近いとはいえ、まだまだこの肌寒さが和らぐことはなさそうだ。 こんな時はあえて服を着込まず外に出て、外気の冷たさに触れながら夜桜を楽しむのが乙というものだが。 生憎と、桜はもうほとんど散ってしまっている。 「もしかしたらエルもニーキも……いや、後先考えずに全力でお互いに挑んだだけか」 エルとニーキは今、姫乃の部屋でクレイドルを並べて眠っている。 エルを寝かしつけた後、ボロアパートの隣室、姫乃の部屋を訪ねようと玄関の扉を開けると、そこには姫乃が立っていた。 バトルが終わった後でギャラリーからバトルの申し込みが殺到した時も、帰りの電車の中でもずっとそうだったように、俯いたまま。 ロングスカートを風に靡かせ、寒さに肩を震わせて。 廊下の電灯の下に立つ姫乃の姿は、春の冷気を忘れさせるほど、ゾッとするものだった。 肩を抱いて姫乃を部屋の中に入れ、エルを起こさないように姫乃の部屋に持ち運ぼうとすると、そこだけは姫乃が断固として部屋に通してくれなかった。 無言でエルが眠っているクレイドルを俺から奪い、部屋へと置いてきたのだ。 どうでもいいが、俺はまだ一度も姫乃の部屋に入れてもらったことがない。 うん、本当にどうでもいいことだが。 いや、本当にどうでもいいことだが。 「あーあ、まさかダブルノックアウトになるとはなあ。 悪魔退治は一応達成したけど、エルまで倒れたんじゃあなあ」 「さっきね、私の部屋でエルを――――壊したよ」 いつものように椅子の上に膝を抱えて座っている姫乃は毛布にくるまり、唐突に、そんなことを言った。 「……どうする?」 「そうだな、怒る」 「……それから?」 「それからも何も、それだけだ。 他にどうしろってんだよ」 「どうして!? 私はニーキをけしかけてエルを壊そうとしたのよ!? なのにどうして私を嫌わないの!? どうしてこんな私を嫌ってくれないの!? ねえ、どうして!? 私はこんなに卑怯で卑屈で嫌な奴なんだよ!?」 いつかニーキが言っていたように、俺と姫乃は似たもの同士なのかもしれない。 相手の好意が怖い。 相手の理解不能な好意が怖い。 俺がいつもベッドの上に座って苦悩していた時に、姫乃も椅子の上で同じ苦悩を抱えていた。 「でもニーキはエルを壊さなかった。 その気になれば姫乃の抑止なんて無視して壊すことだってできたのに、そうしなかった。 そして姫乃も壊さなかった。 眠っているエルのコアを粉々にすることなんて簡単なのに、そうしなかった。 だろ?」 「……私にそうする度胸が無いってこと?」 「できないから度胸が無い、って考えは間違いだ。 暗い衝動を押さえ込める理性をこそ、俺は度胸と呼びたいね」 「女性相手に理屈を捏ねても、誰も聞いてくれないよ、弧域くん」 「それでも話を聞いてくれるから好きなんだよ、姫乃」 今日の俺の頭はどうかしている。 昼間のバトルもそうだったが、俺の口から 「好きだ」 なんて言葉が出る日が来るなんて、お天道様も思うまい。 今は夜だけど。 「それに、思い出してもみてくれよ。 あれだけしこたま打たれたエルがどうして立っていられたと思う? 防御パーツは姫乃お手製のコートだけ、ほぼ素体のままのエルが受身すら取れない状態で、だぞ?」 「それは、エルが頑張ったから、」 「根性でどうにかなる打たれ方じゃなかった。 理由があるとすれば、コートがエルを守ってくれたのか、ニーキが手加減していたのか、どちらかだ」 「で、でもあのコートは、」 「コートを作ってエルに渡したのは姫乃だ。 そしてニーキは姫乃の願望に “忠実に” 動いていた」 「…………」 「姫乃はエルを壊さない。 どれだけそれを望んでいても、どれだけエルが邪魔で邪魔で仕方がなくても、姫乃はエルを壊さない」 「…………」 「そんな安直な道を選ばない姫乃に、俺は惚れたんだ」 「俺が惚れたのはエルでも、他の誰でもない。 姫乃なんだ」 疑って、疑って、疑い続けて。 疑う心が暗闇に鬼を生む。 暗闇に迷い込んだ姫乃の目に何が映っているのか、俺には分からない。 だから、ずっと手を握っていよう。 姫乃が一人ぼっちにならないように。 暗闇が晴れた時に、側にいた奴が幻ではなかったと教えるために。 「……にはは。 弧域くん、なんだか平成初期のドラマみたい」 「う、うるさい。 たまにはいいだろ、こんなことも」 「うん――すごく、いい」 毛布をはだけ、椅子から降りた姫乃は俺の横に腰を下ろした。 そして示し合わせたように、キスをする。 ほんの一瞬の、唇を軽く合わせるだけの行為。 照れも、緊張もない。 これは俺と姫乃にとって、当然のことだから。 「言葉で何を言われても、頭で何を分かっていても、やっぱり心配なの。 弧域くんを疑ってしまうの。 弧域くんは私よりエルのほうが好きなんじゃないかって。 他の誰かのほうが好きなんじゃないかって。 ……本当は私のこと、嫌いなんじゃないかって」 「だから、ね。 私に――――実感、させて欲しいの」 俺達はもう一度、唇を重ねた。 今度は長く、深く、貪るように。 そっと手を伸ばし、姫乃のサラサラと手から溢れる砂のような髪に触れ、そのまま項を撫でた。 「ん――」 不器用な口付けを離し、姫乃の瞳に吸い込まれそうな心地良い感覚に酔い痴れる。 「服、脱がすよ」 「待って。 …………えっと、恥ずかしいから、電気、消そう?」 言われるまま、頷いた。 ベッドから降りて、部屋の電気のスイッチは玄関のほうにあるから―― 「あん?」 何故か、鍵を閉めたはずの玄関が空いていて、そこから冷たい風が室内に流れ込んでいた。 そう、その隙間は丁度、身長15cm程度の人形が通れる位のものだった。 視線を下げ、クローゼットの影に隠れて覗き見していた “そいつら” と、目が合った。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………てへ♪」 「てへ♪ じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!」 NEXT RONDO 『戦乙女の憂鬱』 15cm程度の死闘トップへ
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武装神姫のリン 第21話「想像…そして行動」 …ここは? 私は何も無い…どこなのか 分からない場所に一人。 ふと視線を自分の身体に移すと…全裸、一糸まとわぬ姿に驚きつつも私は懸命にそこを抜け出そうと歩き出そうとします。 「リン」 突然マスターの声が聞こえました、私は振り向こうと…後ろからマスターに抱きしめられました。 そこで私の中に疑問が生まれます。 私は武装神姫。人間とは身体の大きさが根本的に違うのでこの様な事象は起こりえません。 なのに、ここでは私とマスターが同じ大きさの身体を持っている。でも今はそんなことを気にしている暇はありません。 私は状況を聞こうとするのですが、その前に唇を奪われていました。 マスターとの初めての大人のキス。唇の触れあいだけでなく舌をからめてきて、吸われました。 思わず私も自ら舌を絡からめて、ねぶり、吸ってマスターの舌を味わいます。マスターとのキスに必死で他のことなど考えられません。 やっと名残惜しそうに2人の唇が離れます、その間には銀色の糸が… 「マスター」 「リン、愛しているよ。」 そうしてマスターは私の首筋にキスを、そしてその舌で私の素肌をすこしづつ愛撫していきます。 首筋から肩へ、肩から腕へ。マスターの舌が移動するたびに今まで感じたことの無いような快感が私の中を駆けめぐります。 「う…ん、ぁん。マスタ、そこはぁ。」 「ここか?」 とても気持ちいい場所をさらにねっとりとなめられ、私の頭中はマスターでいっぱいになっていきます。 ついにマスターの舌が私の乳房に、そして先端にたどり着きました。 ゆっくりと全体をなめられてちょっと先端を唇で包まれたと思えば、上下左右に弱く引っ張られます。 「マス…たあぁん、ダメですぅ」 「まだまだリンの全部どころか半分も味わってないんだ。先は長いぞ?」 「で、でも、刺激が…つよすぎてぇ!!」 「気持ちいいなら、イっていいんだぞ?我慢は身体に悪い」 「そんな、マスターの目の前で…」 「いつもそうだろ?」 その言葉をきいた瞬間。私の膣から愛液が関を切った様に流れ出て股間を瞬く間に濡らしていきます、そしてそれは私の太股を伝って落ちていきました。 そしてマスターの脚に付きます。そこでやっと、ちゅぽんという音を立ててマスターの唇が私に乳首から離れました。 「一気に出たな、それで良いんだ。俺で感じてくれてるって一番よく分かる。」 「でも、ちょっとは加減というものを」 「しかたないだろ?俺はリンが大好きなんだから。」 「でも、でも!優しくしてくれないのは、嫌です。」 「…すまない。これからは優しくするから、な?」 「約束ですよ、破ったらアレをこうして、ああしてでも止めますからね」 「…分かった。」 さすがに私のジェスチャーに、マスターの血の気が少々引いみたいですが問題は無いでしょう。 ちょうどいいインターバルになると思ったのですが、マスターはすぐに私に覆い被さってきました。 「え?マスター?」 「優しくするけど、いつもとは違うことをするからな。」 「ぁん」 そう言って、マスターはあろうことか私の…秘部から流れる愛液を指ですくい、その指でおしりの穴の周りをなでるように動かしてきたのです。 「そんな、おしりだなんて…」 「リンは嫌?こういうの」 「嫌いとかそういうわけではありませんが、でもやっぱり好んでするというわけでも…ぇ?」 「やっと分かったか? そんなこと言ってても身体はちゃんと反応してるんだよな~」 見ると私の股間はさらに大量の愛液が溢れ、おしりの方にも流れています、それが潤滑剤の役割を果たして、ついにマスターの指が私のおしりの穴に…ずっぷりと根本まで埋まってしまいました。 「そんな、全部入ってる」 「まさかこんなにすんなり行くとはなぁあ、そっか神姫は排泄しないから内部まで内側がつるつるなんだ」 「ま、マスタァー!! そんなにいじらないで…」 たしかにするするとマスターの指が動くのを見て、私自身ももしかしたらマスターのも大丈夫かも…と思ってしまいました。 そこでにやけるマスターの顔。 「? リンはおしりに欲しいのか?」 「そ、そんなこと無いデスよ」 私は必死に表情を悟られまいと顔を背けますがマスターにはお見通しだったらしいです。 「じゃあまずはリンにおしりで…いや、口でしてもらっていい?」 「口…ですか」 私もそろそろ受けるばかりは嫌だと思っていたと所だったので良い機会だと思いました。 「じゃあ、失礼します」 そうして私はいつもより小さな(ちょっと失礼?)マスターのモノを口に含み…いつもは舐めることしか出来なかったために、先端がのどの奥まで到達してしまい、むせてしまいました。 なんとかマスターのモノを口から出して、それでもせきが止まりません。 「リン!大丈夫か?」 「げふぉ、ごほ、マスターすみません。慣れなくて…」 「いや、俺が悪いんだ。すまない。」 「ええいえ、やらせてください」 マスターの返答を待たずにわたしはもう一度マスターのモノを口にくわえ、茉莉がしていたのを思い出してそれを見よう見まねで実践してみました。先端を舌で円を描くように舐め、吸っていきます。 「リン、それすごすぎっ」 マスターの反応は良好の様でした、さらにいちど口から出したモノを根本から先端まで舐め上げていく同時にマスターのふくろを右手で優しく揉んでいきます。 そしてもう一度先端から根本に戻り、揉んでいたふくろをでいるだけ口に含んで、優しく甘噛みしたり舐めたり。そうしているうちに限界に近づいたらしいので、ふくろを攻めるのをやめ、再びモノを口に含んで先ほどと同じく吸ってあげました。 ついにマスターは絶頂を迎え、私の口内にはマスターの精液が大量に流し込まれます。 やっぱり精液の味はおいしいと言えるモノではありませんが、不思議と幸せを感じるのです…私って変なのでしょうか? 「う~さっきはかなりやられたってかんじだった。リン、上手いな?」 「いえ、マスターのことを思って一生懸命にさせていただいただけですし。」 「でも精液を全部飲み干すなんてな…このエロラーフが」 「…なんですか!その"エロラーフ"って」 「あ~某サイトとかでエロぃ格好(露出の度合いが基準というわけではない)したストラーフの写真掲載されてて、そういうストラーフのことをそう呼ぶらしい。で当然ながらリンもそこでエロラーフ認定を受けてるんだ」 「は?そんなぁ」 「まあリンは衣装とかじゃなくて別の方向でも十分エロぃしなw」 「もう! この後させてあげませんよ?」 「あ~すまんすまん。そろそろ挿れていい?」 「…あの、分かってて言ってますよね?」 「一回でいいからリンのおねだりを聞いてみたいんだが…隠語満載の」 「……言わないとだめですか?」 「言って欲しいな。」 もう私の顔が真っ赤になってるのは分かってるんだと思います。 でもマスターは優しい人だから…その優しさがにじみ出るような笑顔には勝てないんです… 「マスター…」 「うん?」 「わ、私のおま○こをマスターのおち○ちんでぐちゃぐちゃにしてください…」 「……」 マスターの顔がうつむき、表情が見えなくなりました。 「マス…きゃぁあ」 マスターは急に私の身体を抱き上げ、犬のようなポーズにさせて、私の膣へそそり立ったモノを挿入してきました…その大きさと感触(?)に私は嬌声を上げずにはいられません。 「ふぁあ、あぁん、そんなに突いちゃ…だめれすぅ」 「まさかあれだけ過激に言ってくれるとは思わなくて、それで我慢できなくなった」 「こんなにぃ…激しくされたらぁ!」 その間もマスターのモノは私の腔内を出たり入ったり。しかもバック体制なので感じる部分が違う…おしりに近い側の壁がカリの上部につっかかる、そこが気持ちよくて… 「マスタ…もっと突いてぇ!」 「っ、もっと?」 「もっと、ください。」 「こうか?」 「!!そうですぅ」 ピストン運動は次第にモノを上下左右に揺さぶる様にして突いて来るようになり、それも私には未経験の刺激であったのでマスターが上り詰めるまでの間に2回も達してしまっていたのです。 そして3度目の絶頂が来るかと思われた瞬間。私はこう叫んでいたのです。 「私はマスターを愛しています、だからマスターのためになら、おしりだって捧げますぅ!だから。次はおしりにぃ!」 「ああ、とりあえず出すっ」 「マスたぁ…おもいっきり、出して…くださぃ」 私の膣内に勢いよく精液が溢れ、結合部から流れ出ます。 今までの2回とは比べものにならない気持ちよさでした。その快感は久しぶりだった私の意識をそのまま闇の中へ誘って行きました… …ここは? 私は何も無い…何処なのか分からない場所…などではなく。 いつものベッドにさっきの犬のような体制が崩れたポーズでうなだれるように横たわっています。 右手には…オーダーメイドでマスターのモノを1/10サイズで形、感触その他諸々を再現したディルドー。 そして左手は…なぜかティアの手を握っているのです。 そしてティアの顔はと言うと私の胸の前、そしてティアの唇からはみ出ているよだれ…全てを理解してしまいました… 私ったら、マスターのモノを同じ形のモノを手に入れてティアと試していたはずなのに。 気持ちよくてイってしまって、その感触とかを知らず知らずの間にAI内部での妄想と同調させて夢に見ていたのです。 もちろん感触などのデータは本物の訳で、寝る前に履いていたショーツをべたべたに濡らしていました。 「これはマスターを思う気持ちからすれば必然なのでしょうか…?」 現実に帰ってみれば、マスターと私の身体の大きさが同じになるなんてあり得ないと解っていたのに、それでも想像してしまわずにはいられなかった自分が情けなく、またくやしくなります。 そして無意識かもしれませんが、そんなことがあり得ないと解っていてもそれを望んでいることに、自分のAIが異常をきたしているのではないか…そんな不安を抱えずには居られないのです。 そういえば今夜はマスターは会社に泊まり込みの仕事だと聞きました。 だから今すぐにあの笑顔を見て安心することさえも出来ません。 とたんに不安が私を支配しようとします。 でも、こんなことに負けるわけには行きません。 だって私はリン。いつだって逆境に意志の力で打ち勝ってきた神姫なのだから。 私はシャワーを浴び、お出かけ用の服(シックな色合いのものを選んだつもりです)に着替え、 静まりかえった部屋のPCを起動させてデータを同期。マスターの会社への道筋を記憶しました。 幸いにも、現在の交通機関はコンピューターによる自動制御で24時間の利用が可能になっており。神姫用のサービスも無いわけでは有りません。 あとは、マスターの下へ。最初に目指すのは最寄り駅の「星ヶ丘駅」そこからは交通機関を利用すればすぐにマスターのつとめる会社にたどり着けます。 ただ、駅までは己の力で行かなくてはなりませんが距離にして1Km弱。たどり着けないわけはありません。 私は夏が終わりすこし涼しくなった夜空を見上げ、背に背負ったリアウィングAAU7とエクステンドブースターに全てを預け、夜空に飛び立ったのです。 燐の22 「喪失」
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神姫(?)設定 『マオ』 開発コード・Maxwell-X01 世界に普及した身長15cmの玩具、武装神姫になりすます事でターゲットに接近し、 暗殺を行なう為に開発された『人殺しの道具』。 しかし創生主・柏木一の組織への反旗により、施設内の全ての人間を殺害し逃亡。 柏木一の意思により柏木浩之の元で暮らす事に。 実は射撃が苦手。 立ち止まっている状態からなら重火器でも精密なワンホールショットをしてみせるが、 自分が動いていると全然当てられない。 反動制御などは神レベルなのだが、戦闘の基本たる移動射撃ができないのだ。 本来の運用では自分よりも遥かに大きい人間が標的で、 しかも加速時間からの射撃なので動きながら撃つ事が全く考慮されていない。 ボディは市販品をチューニングしたもので、特に変わった点は無い。 問題はコア(頭部)で、いくつかの常識を逸脱したテクノロジーが搭載されている。 1.加速時間ドライブ 本編参照。 2.真空機関 永久機関。 真なる空(虚無とか虚空と言った方が適切なのだが)から 無限のエネルギーを取り出す装置。 2006年の時点で『理論だけでも存在している』唯一の永久機関である。(本当) 物理学では『何も無い状態』は本当に何もないのではなく、 プラスとマイナスの存在が均衡して『どちらも存在していないように見えるだけ』と 言われている。 宇宙の創生はこの”真なる空”の状態から波の様にプラスとマイナスへの揺らぎが生じ、 物質や熱が生まれて宇宙が誕生したとされているのだが、 同じ現象を箱庭で再現しようとしたのが真空機関だ。 マオに搭載された真空機関は出力方式を電力に限定されている。 理屈の上では機関の大きさに関係なく膨大な電圧を出力できるのだが、 接続できる配線の太さがボルトネックになり低出力に抑えられている。 もうひとつの機能がコアの冷却だ。 無限に『もってこれる』のと同様に、無限に『もっていく』こともできる。 これを利用し、高性能ゆえに膨大な熱を吐き出す 結晶コンピューターの冷却を行なっている。 3.結晶コンピューター マオの思考・記憶をつかさどる珪素脳。 熱伝導率の非常に高い単一の固体で構成されており、 それ自体がヒートレーンの役目も果たす。 思考速度はそれなりだが、とにかく記憶容量が異常に多い。 欠点は発熱の多さで、ヒートシンク程度では到底間に合わず融解してしまう。 小型の筐体に収めるには無限に熱を食わせられる真空機関との併用が不可欠。 4.分子結合バッテリー 六角形の分子結合を持つ物質。 従来型が六角形の中に1つの電子を捉えることしか出来なかったのに対し、 1つの分子で6個の電子を捕らえられるように改良された。 安定性が高く(どこかのバッテリー見たく燃えたりしないよ?)、非常に軽く、 体積に対し大容量なのだが、製造が難しく恐ろしく高価。 恐ろしいのが、これらが「所詮は人の作りし物」だという事。 今の所同等な存在は出てきていないが…真空機関を研究している(いた)のは 柏木一だけではないし、加速時間ドライブにしても 機密が漏れていなかったという保障はどこにもない。 一度作られた物なのだ。 他の人間に作れないと何故言い切れようか? それだけではない。 もしマオが人類に反旗を翻したら? 彼女の珪素脳には研究所にあった全てのデータが記録されている。 もちろん自分自身の製造方法も、だ。 加速時間ドライブを併用した絶対的なハッキング能力、人を簡単に殺せる力、 自分の姉妹やパーツを作る技術。 真空機関の出力が限定的なのは配線の都合だけで、 暴走させれば小国を地形ごと消し飛ばす程の破壊力をもった兵器にもなる。 今は柏木浩之を慕う故に人類に敵対する事はないが、 ある意味人間と同じ「感情を持った」存在だ。 いつ何処で気持ちが変わってしまうのか。 人類を滅ぼして地球を神姫の星に変えてしまうのか。 当のマオ本人ですら、人類に友好的であり続ける保障は出来ないのだ。 『小姫(こひめ)』 天使型を祖とするカスタム神姫。 巫女装束に誘導特性を持った投擲武器の護符(突刺+スタン効果)・ 射撃武器の長弓と趣味に走りまくった装備。 袴の中の脚部はエアバイザーの翼を加工した物に交換されており、、 本体の浮遊、護符・弓矢の加速、反発フィールドによる防御を可能にしている。 浮遊だけに専念すれば高度を2m前後で維持できるが、 反発フィールドも展開するとせいぜい数cmが限界。 フィールドを前面に集中配置して繰り出される『破魔矢』は非常に強力で、 亜高速レールガンにも匹敵する破壊力を発揮しつつも曲線射撃を可能にする。 しかし1発ごとにフィールドの再配置が必要な事、 発射の前後は防御性能が皆無になるなど、いつでも使える武器ではない。 対マオ戦では使っていなかったが、反発フィールド内に微粒子を散布する事で ビームやレーザーにも高い防御力を発揮する。 マオに敗退した後に、近戦防御用の5連装ショットガンユニットを両肩に装備した。
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【武装神姫】セッション3-1【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19068237